Archive for the ‘社会’ Category

根本治療と対症療法

日曜日, 11月 13th, 2016

1┃病気を治すためには
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最近、総合診療科に行った。

町医者に行く手が、国が進める治療方法、となるのであろうが、
適当な医者を探す、という行為は結構面倒であると思う。

一度、病院に行くと、他の病院を試すのは、失礼に思ってしまうことも
あるであろうし、第一、会社を何度も休むのは気が引けてしまう。

そんなわけで、大学病院の総合診療科に行った。

受付で渡された症状を記述する用紙には、

 『診て欲しい症状を一つ書くように』

といった内容が書かれていた。
ここから、通常、病院は患者とどのような会話を繰り返しているか想像できたので、
この時点で、身体を診てもらうことはあきらめた部分はあった。
それでも、症状を記述する欄自体は、大きなものであったので、
表面上に現れている症状をメインに、
身体に感じるあらゆるセンサーからのヒントを、ひたすら書きなぐってみることにした。

しばらくすると、厳しいビジネスマン風情の看護師がやって来た。
案の定、記述した症状に直結する科を受診するようにと指示してきた。

細かく用紙に書いていたためか、看護師は冷静かつ論理的に、私の説得にかかってきた。
仕事の交渉のようなやり取りが数分の間続いたが、

 『ウェブサイトを見て、人の体を統合的に診察する場所であると理解していたのですが、 誤解でしょうか』

という問いかけに対し、
丁寧、かつ素直に
 
 『その通りですが、保健医療制度の中、病院は運営しているのです』

といったことを言われてしまうと、
『分かりました』と、引き下がるしかなかった。

こんなことが、最近あったためか、
先日リハビリ師とは、次のような会話で盛り上がってしまった。

 『エビデンスがないと認められない治療なんて、あり得ない!』

人間が、完全にデジタル化される世の中が到来すれば、
全てが理解された前提で、問題が解決されるようになるのかもしれない。

自分のことは、結局は、自分しか分からないし、
自分の身体を一番正確に感じられるのは、自分しかないはずである。

他人に正確に理解してもらえる時代。

その時代の良し悪しはともかく、今の時代は、歴史的に養われてきた、
時に明確であり、時に曖昧な知識を使って、自分の感覚を下に、
状況により医師の助けを借りながら、
自分の身体の全体を感じて理解しようと試みながら、
自らの意志で考えて肉体を整えることが正論であり、また必須なのであろうと思う。
(外科的治療については、完全に医師に依存するしかないが)

2┃米国大統領選挙
━┛――――――――――――――――――――――――――――

トランプ氏が大統領に選ばれてから、
報道で、TPPであるとか安保に関する内容とか単発の項目についての影響は論じられているように思う。
また、トランプ氏 を『悪』として、世界情勢の不安定化を憂える内容が多いが、
現在の世界の動きと日本の現状への総括という視点が少ないように感じてしまう。
(テレビや新聞報道、ネットなどを丹念に見ているわけではないので、誤解かもしれないが)

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□トランプ経済策 保護主義は全世界の不利益だ 
2016年11月11日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20161110-OYT1T50184.html

□[FT]世界の自由主義を脅かすトランプ氏(社説) 大統領になれば変わるのか
2016年11月11日 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO09379860Q6A111C1000000/
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個人的には、今、議論すべき内容は、単発の項目に関するリスクの云々よりも、

 『アベノミクス』に対する総括/評価と、その結果に基づく対策検討

という発想しか頭に思いうかがないのであるが、間違いであろうか?

特に頭を巡らしたり、色々調べたわけではないが、
素直に考えれば、自然にそのような発想になるのかと思うのだが。
私は、感覚的におかしいのだろうか。。。

理想的な解決を思いつくのは困難であったとしても、
現実を正面から捉えることは、前に進む方法を考えるときに重要だと思う。

終わり

以下参考

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┃★人生の縮図
┗━…─────────────────────────────────

☆彡 産業空洞化 …──────────────────────────

 【知恵蔵2015の解説より】
  https://kotobank.jp/word/%E7%94%A3%E6%A5%AD%E7%A9%BA%E6%B4%9E%E5%8C%96-183310

  『(省略)産業空洞化は当然の流れともとらえられるが、デフレに悩む日本では深刻な問題になった。
   解決策は、グローバル経済の中で、日本が新たな産業構造に転換すること、すなわち、より産業の高度化(高付加価値化)を進めることである。』

☆彡 バブル …────────────────────────────

 【次のウェブサイトより】
 http://www.kyoritsu-wu.ac.jp/nichukou/sub/sub_gensya/Economy/J_Economic_History/Bubble.htm

  『バブルとは、経済が実力以上に泡(バブル)のようにふくらんだ状態をいう。』

 【知恵蔵2015の解説より(バブル=資産インフレ)】
  https://kotobank.jp/word/%E8%B3%87%E7%94%A3%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC-4145#E7.9F.A5.E6.81.B5.E8.94.B52015

  『地価、株価、貴金属などの資産価格が、上昇する状況を資産インフレという。
   投機により資産インフレが高進、適正価格から大きくかけ離れたときに生じるのがバブル(泡)であり、
   一般に「資産価格と適正価格との乖離(かいり)分」とされる。
   バブルは投機熱が収まると弾け、姿はもと(適正価格)に戻る。』

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┃★日本の成長戦略
┗━…─────────────────────────────────

☆彡 アベノミクス …─────────────────────────

 【わかる!国際情勢 Vol.118 アベノミクスと経済外交(外務省 2014年8月13日)より】
  http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol118/index.html

  『グローバル化により,日本経済と世界経済が互いに影響を及ぼし合う中,
   「成長戦略」では,日本の企業や人が積極的に海外市場に打って出るとともに,
   「世界のヒト,モノ,カネ」を日本に惹きつけることで世界の経済成長を取り込み,
   日本の成長につなげていこうとしています。』

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┃★日本の現状分析の例(2016年4月)
┗━…─────────────────────────────────

☆彡 中間層衰退 …──────────────────────────

 【衰退を続ける日本の中間層‐中間層衰退が示す構造改革の「担い手」不足‐
  みずほリサーチ April 2016 みずほ総合研究所執筆の記事より】
  http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/research/r160401point.pdf

  (「米国よりも深刻な日本の中間層の衰退」と消費増税再延期の決断をする見込みを紹介。)
  
  『◇問われる課題に向き合う誠実さ
     今さら言及することではないが、仮に消費税が再延期されたとしても、
    日本経済にとってそれは単なる一時しのぎに過ぎない。
    むしろ日銀による実質的な財政ファイナンスが行われている現状に鑑みると、
    日本国債に対する信用低下やそれに伴う金利上昇の影響が懸念される。
     本来、我々が取り組むべき最優先課題は所得の底上げであり、
    それを可能とする構造改革である。』

☆彡 日経平均株価 …────────────────────────

  【日経平均株価(月末値)の推移(Wikipediaより)】
   https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/6d/Nikkei_225%281970-%29.svg

☆彡 日経平均株価 …────────────────────────

  【日本のGDPの推移(世界経済のネタ帳より)】
   http://ecodb.net/country/JP/imf_gdp.html

┏━
┃★日本政府対応(2016年5月、6月)
┗━…─────────────────────────────────

☆彡 日本政府の現状分析 …──────────────────────

 【平成28年5月27日 G7伊勢志摩サミット議長記者会見
  首相官邸ウェブサイトより】
  http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/0527summit.html

  『ここで、もし対応を誤れば、世界経済が、通常の景気循環を超えて「危機」に陥る、
   大きなリスクに直面している。私たちG7は、その認識を共有し、
   強い危機感を共有しました。
   そして、新興国経済に弱さが見られる今こそ、G7がその責任を果たさなければならない。
   G7で協調して、金融政策、財政政策、そして構造政策を進め、「三本の矢」を放っていく。
   そのことを合意いたしました。アベノミクスを世界で展開してまいります。』

☆彡 日本政府の対応 …─────────────────────────

  【平成28年6月1日 安倍内閣総理大臣記者会見(消費税率の引上げの延期について )
   首相官邸ウェブサイトより】
   http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/0601kaiken.html

  『世界経済が直面するリスクについて、G7のリーダーたちと伊勢志摩サミットで率直に話し合いました。
   その結果、「新たに危機に陥ることを回避するため」、「適時に全ての政策対応を行う」ことで合意し、
   首脳宣言に明記されました。』

  『一億総活躍社会というのは、皆が活躍できる社会であります。
   であるからこそ、その結果は間違いなくそれを進めていけば、
   中間層はより厚くなり、
   そして、いわば欧米で起こっているああした一部の人たちに富が集中する、
   一部の人にしか機会がないという社会ではなくて、
   皆にチャンスがある社会を創っていく。皆に機会がある社会を創っていく。
   皆がそれぞれ才能を生かしていくことができる社会を創っていくということが、
   我々が進めている一億総活躍社会であり、
   正に今回の伊勢志摩サミットで指摘された議論は、我々が進めてきた議論、
   やるべき政策と方向性の一致するものであったと、このように思っています。 』

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┃★世界のリーダーたちの動きの例
┗━…─────────────────────────────────
■2016年6月24日 英国は国民投票でEU離脱の結果

 ◇なぜ英でEU離脱論?(Q&A)
  2016年2月20日 日本経済新聞
  http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM20H57_Q6A220C1FF8000/

■2016年11月11日 米国 トランプ氏大統領選挙勝利

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以上

米国大統領選挙結果

木曜日, 11月 10th, 2016

http://www.asahi.com/sp/topics/word/米大統領選挙2016.html

色々と思うことがあるが、
情報を調べていないため、想像を超えることはできない。

ただ、言い切っていいことが、
一つあると思うので、それには、触れておきたい。

今回の米国大統領選挙で、明らかになったこと。

それは、多くのマスコミは、

・データ収集、分析能力がない

もしくは、

・(誰の意図により)情報操作して、流している

ということである。

いくつかの報道情報を能動的に収集して、
今回の選挙は、『トランプが勝つ』と予想していた人は、
少なからずいたと思う。

結果を示す地図の色を見て、
予想外の結果が出た、という感想を持つのは難しくないだろうか?

さて、これから、どうなるのか?
私は専門家でもないし、趣味で政治を追っかけている人間でもないので、
正直よく分からない。

トランプのテレビ討論会での一部を読んだが、
個人的には、過激という感想は持たなかった。
どちらかというと、トランプは、合理的な思考の持ち主であるように思えた。
他の人と、物の言い方や内容は、異なる部分はあったのかもしれないが。

また、正直言うと、予想どおりトランプが勝った情報を見て、安心した。

米露の戦争について、米国大統領選挙のテレビ討論会でも話題に上がり、
また、ロシアでも、クリントンが大統領就任したケースとして、
世界大戦となる可能性が、良く話題になっていると聞いていたので、
その情報の信頼性はともかく、
少なくとも安心できる方向には倒れたのかな、
と思えたからである。

素人考えだが、トランプが、自分で判断できるだけの力を維持できるかどうかが、
これからの行方を左右すると思う。

例えば、今のトランプの発言に沿って進むのであれば、
シリア問題は悪くない方向に進むと思う。

ただし、今後、人を動かす場面、金が必要な場面で、
何かの組織を頼るようになるケースにおいて、
合理的に動くが故に、戦争を拡大する方向に判断する可能性がありえる、と思うからである。

以上

2016年の出来事

日曜日, 10月 30th, 2016

2016年とは?

1┃トルコ
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今の段階で、個人的に一番衝撃的であったことは、
昨年11月ロシア空軍機が、トルコ空軍機に撃墜された事件について、
6月末に、トルコがロシアに謝罪したことである。

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□露と関係修復協議毎日新聞 
2016年6月30日 東京朝刊

http://mainichi.jp/articles/20160630/ddm/007/030/074000c

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イギリスのEU離脱が決まったことが、
トルコの決断に、どれだけ影響しているのか?

私には正確なところは分からないが、
結果だけを浚ってみると、世界的に大きな出来事が連続して起こったのではないだろうか。

トルコのことはよく知らないのが正直なところだが、
アジアとヨーロッパ大陸にまたがるこの国は、
西洋化を進めるNATOの加盟国であり、EU加盟が長年の目標である、ということぐらいは知っている。

オスマン帝国時代には、広大な領域を支配した世界の大国の一つであり、
また、現在に戻り、基本情報を調べてみると、
人口は世界18位(2012年)・GDPは世界17位(2013年)という大きな国である。

上の事実に個人的経験を加えてみる。

10数年前に私が中央アジアにあるキルギスタンに住んでいたことがある。
ソ連邦崩壊後のその土地では、多くのトルコ人がビジネスを展開していた。
また、トルコのイスラム教団体が、子供たちに無料で教室・食事・休憩・宿泊場所を提供し、
そこでコーランなどの講義を行っている活動に接する機会があり、
トルコという国・世界の影響力を感じたことがあった。

このようなEU加盟を目指していたトルコという大国が、
直前まで険悪な様相を見せていたロシアと手を結ぼうとするということは、
今まで使っていた鉛筆を力任せに折り曲げて、新たに飛び出してきた芯を削って字を書く事にした、
というような急激な変化であり、トルコとロシアのある出来事というよりも、
これから世界全体が大きく変化していくんだ、という前兆のニュースに思えた。

今まで小学生から学んできた西欧中心の歴史。
ソ連邦崩壊から、アメリカが唯一の超大国として存在する今の慣れてきた世界からの変化の道筋が、浮かんできたのか?

これから、どんな光景が、目の前に現れるのか?

よく分からないが、ともかく、これから自分の住む世界が変わるんだ、と感じた。

このような個人的感想を持っていたため、日本国内で、このニュースが、世界の大変化を示す出来事として、
報道されないことが、個人的には、非常に不思議であった。

2┃日本
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アメリカの傘の下、生きることを国策としてきた日本は、
そして、中国、ロシアというアジアの大国との関係を軽んじているようにも見える日本は、
この世界の変動を敏感に感じていないように、個人的には写った。
それは、『生きる』ことへ執着を、まるで見せていない国の姿に思えた。

最近、アメリカとの同盟関係の在り方と、その危険性について考えたことがある。
その内容は次の通りである。

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□安保法案について(2)
  ⇒ アメリカと一心同体とする政策へのリスクを記述

http://blog.broken-robot.com/?p=2814

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こんな風に、堂々と構えた様相の日本の態度に寒気を感じていたが、
安倍首相がロシアのプーチン大統領を地元に招きたい、という報道があった。

□安倍首相 プーチン露大統領、山口・下関招待に意欲
毎日新聞2016年8月14日 東京朝刊

http://mainichi.jp/articles/20160814/ddm/002/010/063000c

□日露首脳 11、12月再会談 首相、領土交渉強い意欲
毎日新聞2016年9月3日 東京朝刊

http://mainichi.jp/articles/20160903/ddm/001/010/173000c

このニュースを聞いて、
『さすがに今の状況を見て、危機感を覚えて行動を起こしたのか?』
と思ったが、果たして日本政府・官僚の方策と事実は、どこにあるのであろうか?

世の中を動かしているのは官僚と一部の政治家であったとしても、
民主主義の国家で、選挙を考えると急激な変化を起こすのは難しいかも知れない。

いままで、嫌いだったあの国と仲良くしようと言われても、
今までの態度は何であったのか分からないし、今後が不安になるかもしれない。
『あの国は信用できるのか?』 というように。

人の価値観の刷り込みというか、浸透には時間がかかるものであろう。

今まで、寄らば大樹の陰で育ててきた土台を根こそぎ否定するようなアクションは難しいであろう。
また、新たな大樹の下に駆け寄ることも、気持ち的には許されないかもしれない。

安保法案を巡って日本政府の方針を考えてみると、
周りがどうなろうとも、上様について参ります、という忠義心が現れた方策なのか、とも思えた。

世界観や歴史観を転換する必要があるのであれば、
一般的に、今までの歴史的・政治的な駆け引きの経緯を考えてしまうと、
綺麗な解決方法を見出すのは、なかなか難しいことがあるのかもしれない。
これは、政治にかかわらない一般人の甘えた想像であり、
政治家は、そんな甘いことを言わずに決断する人間が揃っているのかもしれないが。

米国の時代の変わった後になって、
『正しかったはずの主君の遺恨を晴らしてやろう』
という態度でしか、自国を正当化できないといった、珍妙な劇の一場面が浮かんできてしまい、
個人的には、この国の行方に不安を感じてしまう。

3┃米国
━┛――――――――――――――――――――――――――――

ところで、米国大統領選挙が近づている。

ここで、もし、トランプ氏が勝利すると、
『米国中心の世界が終焉を迎えようとしている』
という今の世界の流れに乗る形で、米国自身が自ら変わっていくのかもしれない。

一方、もし、クリントン氏が勝利すると、米国が一大大国の地位や威厳を保つために、
今までのように世界で紛争をサポートする活動を継続し、
ロシア・中国といった米国と並び立とうとする大国と対立する構図が継続される事になるのかもしれない。

そうはいっても、世界の変化が、日本の目の前に表面化する時期が遅れるだけのことではないだろうか。
彼女が大統領になっても、 その分、日本が現実逃避可能な時間が、延長されるだけのことかもしれないように思える。

世の潮流に沿う主流派の一員かもしれないトランプ氏が勝利する事について、
『あり得ない』
という前提の報道が一般的な姿であるように見えるのが、個人的には奇妙に見える。

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以下アメリカ大統領選挙テレビ討論会一部抜粋

□アメリカ大統領選挙2016 第3回テレビ討論会(日本語訳全文)
NHK NEWS WEB

http://www3.nhk.or.jp/news/special/2016-presidential-election/debate10.html

【移民のテーマから核兵器の話に展開した時の発言の一部】

クリントン:アメリカ合衆国は平和を維持し…、アメリカ合衆国は、同盟関係を通じて平和を維持してきました。ドナルドはその同盟関係を引き裂こうとしています。それは世界を安全にするものだと思いますし、率直に言って、アメリカ合衆国を安全にします。私はアジア、ヨーロッパ、中東、その他の地域の同盟国と協力します。それが平和を維持する唯一の方法です。

【外国との紛争のテーマでシリアに関する話に展開した時の発言の一部1】

トランプ: 私たちは、反体制派が何者なのかも知りません。私たちは彼らに多額のお金や、あらゆるものをたくさん与えています。私たちは、反体制派が何者なのかも知りません。それは起きないでしょう。なぜなら、ロシアとイランがいるからです。しかし、アサドを追放できたとしても、アサドと同じぐらい悪い人物が現れるかもしれません。彼は悪い男ですが、アサドよりも悪い男が現れる可能性は十分あるのです。

【外国との紛争のテーマでシリアに関する話に展開した時の発言の一部2】

司会者:クリントン長官、あなたは前回の討論会、そして、きょうもまた、アレッポの人々を守るため、そこでの殺戮を止めるために、飛行禁止区域を設定したいと述べています。オバマ大統領は、それを拒否しています。彼は、それによって私たちが紛争に深入りすることを恐れているからです。

ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長は、飛行禁止区域を設定すれば、シリアやロシアと戦争になる可能性が高いと述べています。そこでお聞きします。飛行禁止区域を設定するとしたら、あなたはまず、それらの懸念にどう答えますか?
2つ目の質問ですが、飛行禁止区域を設定して、ロシアの飛行機がそれに違反したら、あなたは大統領としてその飛行機を撃ち落とすよう命令しますか?

□アメリカ大統領選挙2016 第2回テレビ討論会(日本語訳全文)
NHK NEWS WEB

http://www3.nhk.or.jp/news/special/2016-presidential-election/debate6.html

トランプ:何がおかしいか分かりますか? 彼女は1分もオーバーして話していたのに、あなたは彼女を止めなかったのです。私が1秒オーバーすれば、大騒ぎするくせに。
ラダッツ:あなたはたくさん答えていました。
トランプ:これは本当に面白いです。

以上アメリカ大統領選挙テレビ討論会一部抜粋

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以上

安保法案について(2)

土曜日, 9月 12th, 2015

■国の目指す場所

平和な世界の構築を考える上で、
重要なのは経済的な側面の充足であると思う。

『世界に広がる市場を如何に自国に都合の良い形に造りあげるか?』

自己本位に進むことはよくあることで、

他国を利用して経済的なヒエラルキーを作り上げること

これは、一般的に、よくアメリカ、ヨーロッパにある国家が、自分の役務としてきたことなのかもしれない。

平成27年4月29日/米国連邦議会上下両院合同会議における安倍内閣総理大臣演説で、
安倍首相は次のように述べている。

『こうして米国が、次いで日本が育てたものは、繁栄です。そして繁栄こそは、平和の苗床です。』

繁栄なしに平和はない、ということが、絶対的に正しいことなのかどうかは、私には分からない。

個人個人で求める生活水準は異なると思うが、
経済的な安定のない場所で、生活圏の平和が保たれている、ということがあまり無いということは、一般的な事象であると思う。

それでは、安倍政権は、平和の糧となる経済についてどのような方策を描いているのであろうか?

安倍政権が掲げる経済財政政策『アベノミクス』では、次の4つの視点をベースに、日本経済を持続的成長に導く道筋を示そうとしている。

 1.投資の促進
 「新しい事業にチャレンジ!!」
  大胆な規制・制度改革、思い切った投資減税等を行い、企業の投資を促し、
 民間活力を最大限引き出す

 2.人材の活躍強化
 「個性を活かして・みんなが活躍!」
  女性・若者・高齢者等、それぞれの人材がさらに活躍できる環境づくり

 3.新たな市場の創出
 「大きな課題は、大きなチャンス!」
  少子高齢化等の世界共通の課題にいち早く取り組む中で、新たな市場を創出し、「課題解決先進国」へ

 4.世界経済とのさらなる統合
 「世界の真ん中で輝く日本へ!」
  日本企業の世界進出や、日本への直接投資のさらなる拡大

引用元)「成長戦略」の基本的な考え方
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seichosenryaku/kihon.html

まずは、実体経済の成長より先行して、金融緩和を行い、企業がお金を使いやすくする環境を整えるとともに国が資金を投入し、
マネーフローが円滑化するためのきっかけを与える。
そして、これと並行して、ここで挙げた4つの指針をベースにした政策により実体経済の活性化を促す。

これが、アベノミクスであると思うが、
内容を確認して分かることは、4つの全ての指針に関わる投資・人材・市場・インフラといった重要な要素を、
世界と連携して成熟させていくことを想定している、ということである。

ここでは、少しその例を挙げてみることにする。

★クールジャパン

 日本の魅力を発信して、海外では日本発のコンテンツを売り上げ、
 外国人を日本に呼び込み消費を促そう、という経済政策である。

 参考)クールジャパン政策について 平成27年8月 経済産業省商務情報政策局 生活文化創造産業課
  http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/150817CJseisakunitsuiteAugust.pdf

★少子高齢化とアベノミクス

 ▶︎本格的な人口減少社会の到来
  ・総人口は、2050年では1億人、2100年には5千万人を割り込むまでに減少。

 ▶︎高齢化の急速な進展
 ・全国の80歳以上人口割合は、2050年は、2010年と比較すると、6.4%→16.5%へ。

 参考)国土形成計画(全国計画) 参考データ集 平成27年7月30日 国土交通省国土政策局
  http://www.mlit.go.jp/common/001099282.pdf

 ▶︎ アベノミクスを個人的に分かりやすく説明すると

 ‘世界も驚く健康長寿社会’を造りあげる一方、‘若者の舞台は世界へ’。

 さて、日本に若者がいなくなったらどうしようか?

 ‘高度な能力を有する外国人の皆さん、いらっしゃい!’

  (‘’内は、アベノミクス方策より引用)

 引用元)改訂!やわらか成長戦略~アベノミクスをもっと身近に~ 2015年5月内閣官房
    http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2014/leaflet_seichosenryaku.pdf

★将来の日本市場

アベノミクスは、将来の日本への道筋を示そうというものである。
それでは、アベノミクスの前提となる将来の日本はどうなるのか?

 ▶︎将来の日本のGDP予測
 2050年のGDP予測が、幾つかの組織から公表されている。
 調査組織により予測内容は異なるが、
 共通していることがある。
 それは、日本が世界で後退していくことと、中国が世界第1位であることである。

 参考)PwC、調査レポート「2050年の世界」を発表し、主要国のGDPを予測‐2020年以降、中国の成長は大幅に鈍化するものの、世界の経済力の新興国へのシフトは止まらず
  http://www.pwc.com/jp/ja/japan-news/2015/world-in-2050-150227.jhtml

また、未来を想像するために、現在のアジア地域の経済構造を説明する次の資料が興味深い参考資料となるかもしれない。

 参考)国土形成計画(全国計画) 参考データ集 平成27年7月30日 国土交通省国土政策局
  http://www.mlit.go.jp/common/001099282.pdf
   ⇒ 20ページ目「アジアにおける中国のプレゼンスの増大」

民主主義の制度は、多数決により国の方向性を決める。

少数派の意見が反映されるように配慮した仕組みがあったとしても、
簡単に言えば多数派が強い制度である。

国際関係を考えても同じことが言えて、
民主主義の選挙とは異なるが、
人口が多ければ、やはり強い国となるのは言うまでもないことと思う。

人が多ければ、需要側としても、供給側としても強者になれる高い可能性を持つであろう。
そして、経済的に見れば、その国の存在が大きな意味を持つようになる。
国の経済、安定を考えるのであれば、人口の多い国は、敬意を持たれることになり、
結果的に、高い存在感と発言権を持つことになるであろう。

民主主義の世界で、弱者の方へと向かいつつある日本国の将来。

2050年には、どのような経済世界がアジア圏には構築されているのであろうか?

■戦後の日本

過去を振り返ってみる。

産業革命以降、一方的な経済圏確立が、戦争の苗床となった歴史がある。
また、それにより、現在も継続して苦しんでいる地域や人々がいる。
このことは、多くの人々の共通認識であると思う。

『世界に広がる市場を如何に自国に都合の良い形に造りあげるか?』

過去の歴史の反省を踏まえると、ただ綺麗なだけの言葉に聞こえるかもしれないが、
特に、持続的な成長が難しいと予測される日本のような国にとっては、
関係を持つ双方の国が共に適度なレベルで都合がよい関係を保持できる経済圏を構築していくことが、
経済社会の安定成長に必須であると思われる。

ある国が経済的な格差で苦しむこと。

それは、安倍首相の言葉を使うのであれば、繁栄を産まない地域に『戦争の苗床』を育てることになるのであろうし、
他の国々は、その紛争の種が育つのを恐れて、軍事力の増強が必要となるかもしれない。

戦争に関わることにより、市場に生産と人の需要を産み出し、
持続的な経済成長が実現されるのかもしれないが、
人が幸せに暮らす世界を目指す道からは逆行した方向になるかもしれない。

今度は、隣国との関係構築について、もう少し概念的に考えてみる。

より深い経済関係を結ぶことになる隣国から、一目置かれた存在になるためには、どうすればよいか?

国の折衝力が必要となるのと同時に、人と人との感情のつながりを持つことが重要であると思う。
生の人間が、そして友達が苦しむ姿や死ぬという感覚は、不幸の道へ進むことへの抑止力へと繋がることが想定されるからである。

人は自分の目の前に具体的な人間を描くことができるのであれば、
特に体裁を重視する人にとっては、安易にその人間の不幸を願うことはしないが、国家レベルの折衝しか想像出来ずに、ただ憎みあうことはよくある。
日本と近隣諸国の関係も、残念ながら、これに近い部分があるのかもしれない。

ここで、戦後の日本の中国、韓国との関係に目を向けてみる。

日本は、中国、韓国といったアジア地域に多くの援助を行ってきた、と自称する一方、
中国・韓国とは、必ずしも感情的に友好な関係を築いているとは言いがたい。

日本としては、『何でここまでやってやっているのにどうしてなんだ?』という嫌悪感が一部にあるように思える。

日本人にとって、認識しておいた方が良い、と思う基本事項がある。

それは、日本は『未来志向』という言葉を使ってはいけない、というよりも使っても意味がない。
『未来志向』という言葉を利用できるのは、中国であり、また韓国である、ということである。

分かりやすい例を挙げて説明すると、
牢屋から出てきた人間がいた場合、彼に対し、

『くよくよ何時までも悩み、苦しんでいないで未来志向で頑張りましょう』

と、声をかけることは、倫理的に人の間で許容されるかもしれない。

但し、刑期を終えた本人が、

『もう終わったことなんだから、未来志向で行こうぜ!』

と、周りに諭すように言ったのであれば、反感を買うのではないであろうか?

日本は戦争に負け、戦犯者が裁判所で裁かれたわけである。

もし、仮に本当は無罪であったとしても、
周りはそうは思っていない、という現実を受け止めて行動するしかないのであろう。
重大な事件の容疑者とされた人間がどのような目にあうのかは、誰もが良く承知していることである。

日本という国が、常に畏まるべきである、ということを言いたい訳ではない。

中国・韓国に対して国が正論を述べて、国益に沿うように主張・折衝していくことは重要であるが、
それだけばかりでは無意味であり、中国・韓国が感情的に、『過去ばかり見ていないで、未来志向で行きましょう』と言い易い環境を作ってあげることが、
日本という国や日本人の果たすべき役目であり、
自国の発展を促すために必要なことであると思う。

ところで、このあたりの人間関係のやり取りは、
私はとても苦手であるが、
日本人は、一般的に、人を持ち上げて自分に都合良い状態を作り出すことに鋭意努力する人が多い気がする。

この能力が、ある場面になると、途端に活用できなくなるように見えて、
私には不思議に思えてしまう。

また、安保法案について、『中国・韓国以外は賛成している』という声を聞くことがある。

統計的にこれが正しいのか誤りなのか知らないが、
他国からみて、これが合憲なのか違憲なのかという視点で見て判断しているわけではないのは明らかであろう。

つまり、本質的に民主主義なのか、法による統治がなされているか、ということは他国にとってはどうでもよいことであり、
自国の国益に見合っているかどうかで判断していることになる。

日本人が国益のために、他国の言葉を利用するのはいいかもしれないが、
賛意を示す他の国が自国の国益に基づき行動しているのと同じように、中国・韓国も自国の国益に見合うように行動しているだけである、
ということを日本人は理解し、無闇に敵意を示すべきではないと思う。

■国策と安保法案の位置づけ

改めて安倍首相に米国での演説を紹介したい。

 『日米間の交渉は、出口がすぐそこに見えています。米国と、日本のリーダーシップで、TPPを一緒に成し遂げましょう。』
 『太平洋から、インド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。
  そのためにこそ、日米同盟を強くしなくてはなりません。私達には、その責任があります。』
 『自由世界第一、第二の民主主義大国を結ぶ同盟に、この先とも、新たな理由付けは全く無用です。
  それは常に、法の支配、人権、そして自由を尊ぶ、価値観を共にする結びつきです。』

  引用元)平成27年4月29日 米国連邦議会上下両院合同会議における安倍内閣総理大臣演説
    http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/0429enzetsu.html

米国、日本の価値観を、経済の力、軍事力を用いて、アジア地域に押し付け支配していきましょう、
と宣言したと理解できると思う。

もし、仮にアベノミクスが素晴らしい政策であったと評価したとしよう。

その前提が正しかったとしても、アベノミクス/安保法制という国としての一貫性のないように見える方針を、
揺ぎ無く一貫して主張する政府を貴方はどのように評価しますか?

それぞれの官庁は、理屈に沿った正しい判断をしているのかもしれない。

但し、その官庁を統率するはずの政治家は、
明確な国家の指針を持っていなかった、ということに他ならないのではないだろうか?

『戦争法案』

この言葉を用いて安保法案に反対する声があるが、
個人的には、この言葉を持ち出す思考回路がどうしても理解できない。

この法案のみを論じること

- これは、対処療法についての議論である。

病や傷が、これ以上重くなるのを予防する措置をすること、健康を整えること、
つまり、国の方向性について論議することが、
明るくない将来を描いているこの国に対して、今、一番求められていることだと思う。

日本は、少子高齢化先進国である。

繰り返しになるが、これは、世界での日本マーケットの縮小であり、
世界の中で、日本という国の経済的な魅力が大きく減衰していく可能性が大きいこと。
また、国内から外へ発信力の体力が弱まっていくこと、を示している。

そこで、例えばクールジャパンといった日本の魅力を広めていこうという国家的な取り組みがある。

そんな中、世界の嫌われ者かもしれないアメリカとがっちり握手をすることは危険ではないであろうか?
世界で唯一の超大国であり警察という位置を自ら退こうとしているアメリカ。

戦争法案という名前を持ち出すよりも、

・既に国家の戦略として破綻しているのではないか?
・それでは、どのような道を進むべきか
・クールなジャパンをどう売り込めるか?

というような議論が重要であると思う。

また、逆に賛成なのであれば、例えば、次のような議論をすべきであると思う。

・アメリカと仲良くすることのリスク回避策として、他にはどの国との連携を深めていくのか?

私は世界経済や国際交流について、恥ずかしながら、よく分からないので想像でしかないが、
例えば、

『イスラム諸国とのゲートウェイとなり、
また、人口も多く経済的な発展が見込まれるインドネシアとの交流を深めることが、
日本のリスク回避策ではないか?』

・将来、アジア地域でのアメリカの影響力が低下したときの、日本の対応戦略

・国際的な日本への評価/美しい日本と日米同盟の関連性は?

・日本のアジア圏での戦略とアメリカと同調してTPP参加とAIIB不参加を進める意義とリスク

・アメリカが日本に反する政策を展開したときに対応は?
 (アメリカ以外の逃げ道は作ってあるのか?)

私は知識がないため、少ない例しか挙げられていないが、
専門家や勉強中の学生が議論を始めれば、いくらでもこのような議題は出てくるのかと思う。

そうは言っても、選挙は既に終わっており、時すでに遅し、であり、
今となっては、仕方ないので、人の目を引き、興味を引き立てるために、『戦争』や『違憲』という言葉を利用しているだけなのかもしれない。
議論する時間はもう残されていないのだから。

つづく・・・

安保法案について(1)

日曜日, 8月 30th, 2015

安全保障関連法案が議論されている。

この字面から判断するに、日本国の安全を保証するための法案について議論している、
ということになる。

戦争法案だから/違憲であるから、という反対論、
そして、自衛のため/世界の一員としての責任を果たすため、という賛成論があるように思う。

正確には理解できていないのであれば、申し訳ないが、
個人的には、反対論も賛成論も、何故そのような論理展開となるのかが理解できていない。

重要な法案であり、誰もが論議するべきことと考える。
このため、今回、私の意見を簡単にまとめてみた。

■前置き

戦争、という言葉を聞くと、よく思い出すことがある。
中国_西寧バスターミナル

十年ほど前、中国青海省の西寧市の長距離バスターミナルで。

西寧市に、その周辺を旅行するための拠点として、何度か宿泊した。

西寧から地方へ向かうために、バスターミナルを何度か訪れた。
あるとき、バスに乗るわけではないが入り口近くに座っているお爺さんと話をすることがあった。

『アメリカやロシアは、あんなに多くの原爆を持っているのに、何で使わないんだい?』

嫌味としての発言であったようにおぼろげに記憶している。
個人的には、その理由は分かっているつもりであったが、その人には、上手く気の利いた回答できなかったことを覚えている。

■違憲という観点について

『安保法案は、日本国第9条に違反している。
 そのため、この法案を成立する必要があるのであれば、
 立憲国家である日本国としては、まずは、憲法改正を行うべきである。』

安保法案に反対を唱える人々の、反対への論拠が、このことであることが多いように思う。

日本国憲法第9条を確認してみる。

—————–
第2章 戦争の放棄

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
—————–

日本語をある程度解する人であれば、明確であると思うが、元々自衛隊の存在は、第9条に反している。
そして、安保法案は、その自衛隊の存在を肯定した前提での法案であるので、違憲であるのは明らかである。

但し、留意すべきことは、多くの国民は、次の事項を合意していると考えられることである。

 『憲法解釈により自衛隊は合憲であること』

 参考)防衛省・自衛隊ウェブサイト
    憲法と自衛権 http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/seisaku/kihon02.html

自衛隊の存在についての賛否数を示す資料を持たないので正確な判断はできないが、
少なくとも自衛隊の存在自体を議論することは、殆ど行われていないのが現状であり、
憲法は政府解釈により決まることが有り得る事態を許容している、と考えられる。

今回の法案が合憲であるのか違憲であるのか?

安倍政権は、『法的安定性は確保されている』というのが正式見解である。
つまり、憲法解釈の論理的整合性は、過去現在で確保されている、ということであるので、
今までの自衛隊に関する過去の経緯とあわせて考えれば、合憲であるはずである。

但し、整合性の確保について

 -これが、議論の対象である、

ということであれば、
現在の解釈説明が、過去と比べて何かしらの差異が発生しているということになる。

もし、その差異について安倍首相が説明してきていない、ということであれば、
それに対する国民の反発があっても、それは奇妙なことではない。
但し、今、安倍政権が行おうとしていることと、以前から安倍首相が発言してきていることに、
大きな違いは発生していないように思える。

感覚でしかないため、念のため、2014年12月衆議院総選挙前の安倍首相の発言を確認してみる。

—————–
平成26年10月26日
防衛省・自衛隊60周年記念航空観閲式 安倍内閣総理大臣訓示
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/1026kunji.html

以下一部抜粋

『戦後60年以上続いてきた、平和国家としての日本の歩みは、これからも変わることは決してありません。日本国憲法が掲げる平和主義の理念は、世界に誇るべきものです。
しかし、それは、内向きな「一国平和主義」であってはならない。世界は、ますます相互依存を深め、一つの地域で生じた危機が、世界に波及する危険性は、一層高まっています。
こうした時代にあって、「自国のことのみに専念」するような態度は、真の平和主義に忠実なものとは言えません。
今こそ、我が国は、「積極的平和主義」の旗を掲げ、世界の平和と安定に、これまで以上に役割を果たしていくべきであります。それこそが、憲法が掲げる平和主義の理念に、より適う道だ、と確信しています。』

以上
—————–

この文面を読むと、安倍首相の考え方が総選挙後に変わったわけではないし、
また、隠していた意見を、唐突に持ち出してきたわけではないことが明確であると思う。

安倍政権に対する考え方について、全ての方針に賛意を示したのかどうかは分からないが、
国民は選挙で政権を担うことを、安倍首相に託したわけである。

国民が選んだ安倍政権は、予てから示していた方針に従い法律を定めようとしているだけである。

もともと自民党に対して反対を唱えていた政党や人々が、

 安保法案を『違憲である』、

と反対を唱えるのは理解できるが、
憲法は解釈により決まるという前提である以上、
安保法案が原因で内閣支持率が下がる、という現状が発生する理由を論理的に解釈することは難しい。

数字の分析をすることが目的ではないので、
前回の衆議院総選挙での自民党への投票数や支持理由の分布等の分析結果確認は行っていないが、

『立候補者は、自分の政治方針を示し、それを聞いた国民が投票を行う。
 そして、選ばれた政治家が政治を行う』

という民主主義という制度を採用している以上、
一貫して仕事を行っている政権に対して、
初めから主張していた政策に対して違憲かどうかといったことや、
主張に従って実施している政策が原因で支持率が下がっていることに対する論評を
人々やマスコミ等が行うことについて、個人的には全く理解できない。

どちらかと言えば、それぞれ自分自身の行動や、安倍政権を選択した国民全体に対する論評を行うべきではないかと思える。

■戦争法案という観点について

『戦争と平和』

戦争がなければ平和、というように思えばよいでしょうか?

このように思っている人は、殆どいないと思うが、
『戦争』という言葉が出ると初めて過剰に反応する、ということが多いような気がする。

表面的に問題が現れていなければよい、という風潮はよくあることと思うが、
それは、致命的な事態かどうか、とは別の話である。

世界は一つのマーケットである。

他国との関係なしには生きていけない世の中において、
戦争になるということは、かなり致命的な段階まで達した、ということもあるであろう。
また、本当にどうにもならない致命的な問題であれば、戦争する力もなく表面化しない、となるのかもしれない。

あまりに戦争、という言葉に着目しすぎることにあわせて、
個人的に理解できないのは、『原爆反対』ということの論理である。

『戦争という致命的な段階に達した場合、人は何をするか分からない、
 だから、せめて原爆という大量破壊兵器を保有するのは、止めておこう』

もしかしたら、こんなような論理になるのかもしれない。

このような戦争を制御しようという論拠が語られることがあるかもしれないが、
『原爆反対』ではなく『戦争反対』ということのみを伝えていかないと意味がないと思う。
原爆は、戦争の悲劇を語る上での一つの事例にしか過ぎないはずである。

第一、国際法に従った戦争が行われる、というのは、
スポーツであるまいし、そもそもナンセンスな話である。

『生きるため、死なないため』

まずは、コンプライアンス。

命がかかった瞬間でも、国や人は、法令順守や約束を前提に行動するものだ、
と考えるのは、かなり困難であると思う。

もう、戦争が起こった時点で終わりである、という理解の方が、正しいのではないだろうか?

もし、現在・未来において、戦争という危機的状態が起こるかどうか、
という議論があるのだとすれば、
まず、議論が必要なのは、戦争時や抑止力としての武力の行使ことよりも、
世界、または日本国において、戦争が発生する可能性となる要因とそれに対する対策、
ということではないだろうか?

戦争、という言葉のみを議論しても何の意味もない。

ところで、『生きる』、ということを考えたときに、まず重要なのが経済である。

今、一国に閉じた市場ではなく、世界が一つのマーケットである。

その巨大マーケットを、自分に有利になるように構築できるか?

このことが各国の大きなテーマの一つのであると思う。

安倍首相は、米国とともにアジア圏の社会を作り上げようとしている。
そのことを、米国連邦議会上下両院合同会議における安倍内閣総理大臣演説で、
米国に、延いては世界各国に向けてと言えると思うが、そのことを宣言している。

—————–
当ウェブサイト記事:米国連邦議会上下両院合同会議における安倍総理大臣演説
http://blog.broken-robot.com/?p=2578
—————–

その具体的な対応の一つとして、安倍政権は、存立危機事態への対処が必要であり、
その対処として、武力行使を可能にする条件の変更が必要である、と言っているわけである。

武力行使のための新三大要件としては、次の内容を挙げている。

—————–
(1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、
   これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
(2)これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
(3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
—————–

(2)に挙げているとおり、他に手段がないこと、という事態に陥り戦争になるという論理であるのであれば、
あわせて、危機的状況に陥る前の、『その他手段』についての議論を行わないことには、
全く意味がないことになるのではないだろうか?

この安保法案を成立させてしまうと、
法律の制定する目的とは逆に、存立危機事態を招く可能性はないのであろうか?

この観点での議論は、十分になされているのであろうか?

『平和』

この言葉の意味がよく理解できていない。

『我が国及び国際社会の平和及び安全のための切れ目のない体制の整備』ができていれば戦争はない。
そうであれば、平和と安全が保たれ幸せになれる、ということであろうか?

つづく・・・

小さな世界、大きな世界

木曜日, 7月 16th, 2015

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米国連邦議会上下両院合同会議における安倍総理大臣演説

月曜日, 6月 1st, 2015

5月の連休時に会った友達より、米国での安倍総理大臣演説は聞いておくべき、と助言された。

具体的にどのような発言をしたかを、一般常識として確認すべきと思っていたが、
正直言うと、内容は期待していなかったため、ニュース等で演説内容を探して読む気力がなかった。

そうは言うものの、『知っておくべきだ』と言われれば、その通りであると思い、
帰宅してから、安倍総理大臣演説を読んでみることにした。

■首相官邸ウェブサイトより
 平成27年4月29日
 米国連邦議会上下両院合同会議における安倍内閣総理大臣演説
 http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/0429enzetsu.html

■行った作業
可能な限り正確に理解するために、発言内容を構造化/整理して内容を分析することにより、
演説への理解を深める努力を試みた。

演説の分析結果を纏めたファイルを次に示したいと思う。

なお、基本的には和文を正として解析を行ったが、
意図や主語や指示対象が不明確な時は和文と英文の両方を確認した。

—–
注)
 FreeMindというソフトウェアで整理したため、
 可能な限り次の①のファイルで内容をご確認頂きたいが、
 このソフトウェアがない場合は、②のPDFファイルをご参照頂きたい。

① 安倍総理大臣演説 構造解析(FreeMind)

② 安倍総理大臣演説 構造解析(PDF)
—– 

■作業結果とまとめ
この分析結果からよく分かることは、
この演説が、よく練られた文書構成であり、人の意識を引き、また納得させることができる論理的な文章として仕上げられていることである。
このため、この演説原稿作成者は、
かなり日本語作文能力が高いか、または、厳密に編集作業が行われた非常に高水準な内容であると言える。

ただし、短い時間の演説であるため、
要点だけを纏めると非常に単純であり、
次の2枚の資料で示す内容になると考えられる。

米国連邦議会上下両院合同会議における安倍総理大臣演説1

米国連邦議会上下両院合同会議における安倍総理大臣演説2

■所感

ここで、この演説の分析結果に基づく所感を述べさせて頂く。

この文章から分かることは、
日本がアメリカと一心同体で進もうとしていることである。

アメリカ議会での演説であるため、アメリカしか考慮にない内容となってしまうは、
何の不思議はないことなのかもしれない。
但し、世界的、特に中国、韓国からこの演説が注目されていたことは周知の事実である。

このため、この計算尽くされた文章の水準の高さを鑑みると、
世界的な注目度も考慮に入れて作成された、
と考えるのが自然である。
また、米国が対象としたとしても、この演説は、世界に対して日本の意思を示すものとして構成された文章でなければならない、と考える。

この文章から明らかに読み取れることは、中国は日本国の敵国であること、
そして、ロシアは仲間ではない、ということである。

つまり、日本はアジア地域の大国とは対等な関係を築くつもりがない、
ということを示していることになるであろう。

日本国はアメリカが世界の大国である前提で、過去は国際関係を構築した。
また未来も同じように国際関係を構築しようとしているプランを演説では開示している。

ここで、世界に敵国を持つアメリカの力が弱まった場合は、どうなるであろうか?

資源も食物もあるアメリカは、一国でも生き延びていく術はあるのであろう。
一方、アメリカ保護の下、自国の価値観のみを押し通すことで国際関係を持つことを目指す日本国はどうであろうか?

建国記念の日

木曜日, 2月 19th, 2015

JC国史会議議長の棟久裕文(むねひさ・ひろふみ)氏は「日本では自国を誇りに思いながら、建国は知らないという矛盾した状況になっている。グローバル社会に向け、義務教育段階から建国を含めた国史教育を充実させていく必要がある」と話している。

引用元
産経新聞  
2月11日 7時55分配信
建国の日「知っている」2割未満 米中では9割超 「自国誇り」は7割

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150211-00000086-san-soci

———————————————

矛盾した状況というが、本当に矛盾した事象だろうか?

誇りに思う、という人が多い時点で、国の教育事業は大成功を収めている、と言えると思う。

建国記念日は、神武天皇が即位した日であるとのこと。

その日の起源を知らない人が大多数である。
社会は、このような人々により創られたものであり、そして、今、人々が重要として敬う事柄が社会風景として表れているはずである。

何の情報を押し付ける事が教育だろうか?

この新聞記事には、中国、カナダ、米国といった国々では、ほとんどの人が建国の日を知っていると紹介されている。
これらの国々の人々の間では、多民族国家という自覚に満ち溢れていると思われる。
そのような国の数値と比較することに意味があるとすれば、国家の過剰な統制や戦争を想起してしまうのは当然の事に感じる。

現実に表れている風景と棟久氏の言う矛盾とが同居する社会を知ること。

このことの方が、歴史教育として意味があると思う。

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今日の果物屋

火曜日, 2月 10th, 2015

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テロリスト批難の決意

日曜日, 2月 8th, 2015

■テロ非難決議の全会一致採択

衆議院で、テロ非難決議が全会一致で採択された。

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◆産経ニュース 衆院の非難決議全文

http://www.sankei.com/politics/news/150205/plt1502050019-n1.html

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また、衆議院に続き、参議院で同様の決議が、全会一致で採択された。

参議院では、決議内容の修正を求める山本太郎参議院議員が、採決を棄権したことが報道されている。
インターネットで、その棄権に関する情報を検索すると、退席した山本議員への賛同者はいるものの、多くの人が同氏の行動に対して異を唱えているようである。
山本氏は自らのブログで途中退席した理由と、修正案として提案した3点を説明している。

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◆山本太郎氏ブログ

http://ameblo.jp/yamamototaro1124/

◆修正案(上記ブログより抜粋)

①今回の事件の検証。イラク戦争の総括を含む。
②特定の国名の明記を避けた関係各国への謝辞。
③英訳文を同時に用意する事

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私は、山本氏の政治的思想を知らない。

但し、同氏のこのブログ記事を読むと非常に論理的であり、かつ自分の役務や責任を理解した上で、決議の修正を促そうとしていることを読み取ることができる。

一方、国会議員や多くのマスコミは、同氏の主張に対して、批難するか、無視を決め込む様相である。
決議の採択により、『テロに屈しない』という正義感に満ちた言葉に基づく総意の決意を示すことができた、というセンチメンタリズムに溺れているのであろうか。

本事件は、テロリズム、という言葉を使っている時点で、刑事事件とは全く異なる事象である。つまり、当決議は完全に政治的なものであり、今後の日本のアラブ地域への政策方針を宣言するものとなるはずである。
当然、ここで示す政治的方針は、今回の事件が発生した原因や、事件の発生した地域に対するこれまでの日本の政策実績評価を踏まえた上での決意を示すものでなければならない。

もし、この決議が、『日本国は、米国主導の有志連合に積極的に関わり世界の安定に向け貢献していく』、という決意の表明であれば、決議文の内容は理解し易い。

但し、『日本は、軍事を伴う有志連合からは一歩離れて、人道支援に徹することにより地域の安定に貢献する』、という決意の表明であれば、ヨルダンの国名を安易に掲げるのは危険である。

今回の事件で、表面上報道で一般に公開された情報だけを考えても、このような文章から、日本の国会議員が今回の事態を全く検証していないことが分かる。
端的に言えば、『テロを許さない姿勢』と『人道支援』を駆使した訴えと、『海外の在留邦人の安全確保』がかみ合わなかった今回の結果から目を背けている訳である。

また、『英文訳が必要だ』、というのを完全に黙殺していることからも、この決議はあくまで日本の内向きに対する決意であり思想統制的な意味合いが強いことが分かる。

少しでも翻訳をしたことがある人であれば、知っていることであろうが、文書を正確に翻訳することは、基本的には不可能と思った方がよい。
主語や目的語が文章中では不明確であったり、省略されていたり、また、翻訳先の言語には存在しない概念の単語があったりする、ということはよくあると思う。
このため、翻訳文は、訳者の理解(それに伴い必然的に思想を含むことも有り得る)で文章の補完しながら作成していく必要がある。

今回の日本政府のイスラム国への主張を正当とするのであれば、今まで日本は人道面での活動しかしていないわけであり、イスラム国は悪意を持って安倍首相の発言を誤解した訳である。

自分の用いた言葉を、再び他者に上手く利用されることがないようにするための措置を取ることが政治的配慮である。

同じ言語内でも、推敲した原稿を準備して発言を行う理由の一つに、誤解されることを防ぐ、ということがあるであろう。
他言語圏の人が、誤解することは簡単である。

このように、この決議から分かることは、日本の国会議員には、今回の事件を教訓にして、原因やその対策を考えようというつもりは毛頭ない、ということである。
殆ど日本の政治家が、テロという言葉を利用することにより、日本世論を制御していく行動に徹しているのであろう。

政治家は論理的に話すことが難しい職種であるのかもしれない。

但し、山本太郎氏のような論理的な正論を排除するだけでは、何も解決することはできないと思う。