2014年夏ごろから初冬までのある東京の町並み。
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日曜日, 12月 30th, 2012今日は毎年ある病院での検査の日であった。
昨日は仕事納めであり、ゆっくりと起床すればよいはずである。
せっかく朝、起きるわけである。
それでは、どこかに行かないわけには。
Googleで地図を見る。
目的地は東京 信濃町。
地図で眺めると都心は意外と徒歩で回れそうな大きさであることに気がついた。
とりあえず帰りの電車、始発駅である東京駅を目指してみようか。
検査が終わり、食事をとる。
どこに行こうかと考える振りをしてみるが、
昨日の地図の鑑賞会で、取り立てて強く思いの引かれる場所がなかったため、
予定通り東京駅へと向かうことにした。
歩き始めて気がついたのは、
東京という街の中心は、坂が多いことである。
都心はなぜか平坦であるという勝手な知識を何故だか頭には叩き込まれていたが、
今、僕は起伏のある緑豊かな道を先へと進んでいた。
この東京の中心というところは、
僕には空気のつかめないというか、
ここにいる自分が宙に浮いているというか、
何しろ僕には特異な空間に映った。
その止まっている空気を僕が漂っているという思いを、
以前も感じたことがあり、
今もその時と同じであった。
(http://www.broken-robot.com/ja/n_center.html)
この整然と綺麗な空間において、
着飾ったランナーがたまに現れる以外は
ほとんど人は姿を見せなかった。
一回だけ前から坂を登ってくる男性に遭遇すると、
彼は
「こんにちは」
と、東京ではないかのごとく僕に声をかけ、
ただ僕の横を通りすぎていった。
迎賓館を過ぎ、赤坂に近づくと、
濁った水が目の前に現れ、人の流れもあちらへこちらへと姿を見せるようになり、
経済により構築された世界が入り混じった空間に足を踏み入れた感じがあった。
三宅坂に至り、皇居外堀に対面すると、
同じ向きへと進んでいるのか、それがたまたまであるのか分からないが、
ランナー達が皇居の周りをぐるぐると回っていた。
カメラを持ち歩いている僕は、
ただその集団の歩みを邪魔しているかのごとくであったのかもしれない。
そこで、その横に浮かぶ皇居外苑の色は、
まるで旅行のとき長期バスの窓から見た、
二度と見ることはないと思われるような鮮やかな緑であった。
これで今日の散歩も終わり。
ベンチがある方向へと進んでいくと楠木正成の像があった。
今まで知らなかったが、
東京の中心で楠木正成が皇居を守るがごとく立っていたわけである。
明治政府であるのか、誰であるのかは知らないけど、
この新たに作り出したこの世界を何とか必死に守ろうとした印であるのであろうか。
楠木正成が仕えた相手の境遇を考え、
また、彼をそこに立たせた思いと重ね合わせると、
少しばかり悲しい画面を想像させるものがあるように感じた。