感辰
もう一か月近くになるような気がする。
『完全閉店』
町中でよく見かけるこの文字。
この店は学生時代からある、比較的で安価な衣類を販売しているところであり、
僕も何度か利用したこともあり、
この嫌味のように目立つ言葉がこの店で掲げられているのを見たときには、
学生時代の僕がこの店に入る姿を思い起こし、
時の流れを感じ少し感傷的な気分となった。
しかし、毎週、この横を通るたびにこれを見ると、
段々と鬱陶しい気持ちが高まってきた。
その気持ちとは逆に、
どんなことでも完全に何かをやり遂げることは大変なことであり、それが外面にどう見えるかは別の話であろう。
何かをやろうとする時は、
素敵な結論が思い描かれていることも多く、
その始めの時点では自分はきっちりとやり遂げて幕を閉じることになっている。
しかしながら、そのシナリオ通りに行くことは稀であり、
完全にやり遂げようとすると、他人からはその意地のこもった姿が嫌味にさえ見えることがあるのかもしれない。
いつまでも綺麗に去ることができない、この垂れ幕を見て思った。