実家に置いてある荷物を整理した。
忘れ内容にするためであろうか
『旅行 重要』
と書かれた茶色に変色したダンボールを開けると、
『形は覚えているんだが、さて、どうやって手に入れたんだろう?』
というようか物体が次々と目の前に現れた。
旅行用のダンボール以外にも、この瞬間必要としなくてもいつかは必要となると判断したと思しき電気製品やケーブル、紙切れなどが散財するダンボール群があった。
物を取り出しては右へ左へと置いていく。
布袋を開けるとPHSが出てきた。
手にしっくりと収まる大きさであり、気に入っていたことが装飾からよく分かる。
今はスマートフォンを使っている。
使っていたスマートフォンが壊れたとき、
ガラケーにしようと思い探すと以前のように色々な物より選択する、
という概念はないようであった。
その限られた見た目が心を打つことはなく、
仕方がないがスマートフォンにするかと陳列棚を眺めると、
こちらもほとんど個性がないというのか選択肢がないように見えた。
その中で何故人気があるのか、売れているのかは何度か店員に聞いても分からなかったが、
iPhoneは確かに無難なデザインであり、
カバーというのか何というのか分からないが、
自分の好みにしたて上げるためのツールが充分に準備されているモデルのようである。
とりあえずその無難さによりiPhoneを購入した。
iPhoneは使いやすい、との評判がある。
僕はどこが使いやすいのか分からないし、前に使用していたものより使いにくいので、
世の中に溢れるiPhone保有者の一人に尋ねる。
『iPhone、使いにくくないですか?』
『使いやすいですよ』
気のせいかもしれないが、少し憤慨した感じでの回答であった。
今日、目の前に現れたPHS。
『今、同じようなことをするのであろうか?』
後日、発送するためのダンボールには詰めずに持ち帰ることにした。