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ひな祭りとから揚げ

水曜日, 2月 26th, 2014

3月3日

女の子の健やかな成長を願うお祝いの日と言っても、今どきは男の子が喜んで家に帰る日となっているのかもしれない。

旧来は人形に想いを込めるようにして、今は美として崇める対象としても存在はしているものの、

ひな祭りにはから揚げを食することからも分かるように、現在は庶民の粋な心意気を現す行事となっている。

宗教や道徳観に閉じ込められた世界から社会が開花して文明が新たな時代を迎え肉に食らいつくことが許されるようになると、

庶民の時代が到来した。

ある年の3月3日の日、母親は家を守る柱となるべき5歳の娘にどんなお祝いの日を仕立て上げようかと考える。

彼女はふっと庭に出ると庭をバタバタとはためくふっくらした鶏一羽の首根っこを引っ掴み取った。
そして今度は台所の棚からはこれまた新しい食べ物であり、いつか何かのためにと動物から搾り取って貯めていた油の詰まった瓶を取り出した。

肉という新しい栄養満点な食い物を油で揚げることにより、

例え飢饉の時が訪れたとしても、

外で闘いを求める頼りない男達の代わりに彼女は逞しく生き延び次の時代、家庭を支える大きな人間になって欲しいという想いを込めたわけである。

文明時代が訪れ、空虚な思想が打倒されていき、

生活の中、生まれて来る英智が新たなカタチとして今の習慣として構築されてきた。

呑気に休んでいてどうして生き延びることができるんだい?

3月3日のひな祭りが祝日でないのは、

文明開化の結果、庶民生活が投影された行事になったという変遷があったからである。